長南町の古墳(油殿古墳群・能満寺古墳群)
県内の横穴の4割が集中するこの地域には、高塚古墳がほとんどない。そんな中にあって、能満寺古墳など本県を代表する4世紀代の大規模古墳を訪ねるコース。
*バス運行本数は少なく、睦沢からの帰りのバスは休日特に少なくなるので、詳しくは小湊バス(0475−23−2211)、都自動車(0475−25−0234)に確認すること。
油殿古墳群、能満寺古墳群は、一宮川支流埴生川流域に位置し、当時伊甚国造に関係のあったこの一帯を支配していた豪族の古墳と考えられている。房総の古墳時代を研究する上でも重要である。
JR茂原駅南口1番で給田経由長南行きに乗車、給田バス停下車。下車後、茂原市方面に約400m戻った所に西湖バス停、油殿古墳群への指導標識がある。これを右折し、関東ふれあいの道を約1kmで、右側に一ヶ滝橋が見えてくる。道路左側の指導標識で油殿古墳群の方向と距離を確認。埴生川に沿う山裾の道が広い水田地帯に出た辺りから右側の田んぼの中に、住宅に囲まれた小高い丘陵が見えてくる。この上が油殿古墳群。十字路を右に曲がると後少し。 古墳群入口の説明板を一読、団地内南端にある入口から見学コースに入る。 油殿古墳群は、標高40mの独立丘陵上に立地する前方後円墳2基、円墳2基からなる。保存状態は良好である。油殿1号墳は、全長93mの前方後円墳で、長生以南の太平洋岸では最大を誇る。車2台程度は古墳群案内板付近に駐車できる。(P. あり、WC. なし)
見学コースは、林の中で下草が多く、時期によってはコースが隠れているので、足元に注意。梅雨の時期には、夏の蚊も多いので、虫さされに注意。 現在、古墳の周りは水田となっているが、以前は畑地であったそうだ。土地改良で水田にする際、多数の住居跡が見つかったとのこと。古墳群が造られた時代、古墳の周りには大きなムラがあり、沢山の人々が生活していたからだろう。
油殿1号墳 前方後円墳◆5世紀初◆所在地 長南町豊原字川崎◆全長93m◆方位 N-125゜-E◆前方部幅24m 高さ3.5m◆後円部径50m 高さ8.5m◆出土品 土師器(底部穿穴の壷、五領式)◆備考 1974年県指定 1975年墳丘周辺部のみ調査 油殿2号墳 前方後円墳◆所在地 長南町豊原字川崎2-257◆全長32m◆方位 N-153°-W ◆前方部幅10m以上 高さ1.5m◆後円部径23m 高さ2.5m◆備考 1974年県指定 1975年調査 油殿3号墳 円墳 所在地◆長南町豊原字川崎◆直径10m 高さ1m◆埋葬施設 不明◆出土品 不明◆備考 周溝は認められない 1974年県指定 1975年調査 油殿4号墳 円墳◆所在地 長南町豊原字川崎◆直径10m 高さ1m◆埋葬施設 不明◆出土品 不明◆備考 周溝は認められない 1974年県指定 1975年調査(早大滝口宏)
油殿1号墳
油殿1号墳墳丘実測図
関東ふれあいの道に戻り、T字路を右折して、100mほどで三叉路に出る。そこで指導標識を確認。三叉路を右に入り、あずま橋を渡って、約800m(途中、県道148号線を横断)、田んぼの中を進むとカーブがあり、人家のわきに指導標識が見えてくる。しばらく人家の間を歩き、T字路に出たら右に曲がる。正面に台地が見えてくる。ここに能満寺古墳群がある。約500mで説明板。ここから坂を約200m登る。 能満寺古墳群は前方後円墳1基、円墳4基からなる。能満寺古墳は、古墳時代前期後半に築造された前方後円墳で全長74m。埋葬施設は、木炭槨からなり、豊富な副葬品が出土した。墳形もきれいに残っており、全体も確認できる。一時、前方後方墳の疑いもあったが、測量の結果、前方後円墳と確認された。 帰りは関東ふれあいの道標識に従って睦沢町上之郷に向かう。約250mで台地のふもとに下りる。交差点を渡って、みやかわ橋の方向に進む。そのまま行くと県道120号線に出る。ここを左に曲がると、睦沢公民館入口バス停。ここまで約700m。(P. あり、WC. なし)
現在は林の中の古墳であるが、築造当時は広大な沖積低地が一望できる見晴らしの良い場所で、付近の村や田畑からの眺めが、壮大なものであったろう。トイレはない。古墳案内板付近に車2台程度は駐車できる。
能満寺1号墳 前方後円墳◆5世紀初◆所在地 長南町芝原◆全長73.5m◆方位 N-80゜-W◆前方部幅26.5m 高さ4m◆後円部径47.5m 高さ6.5m◆埋葬施設 木炭槨(後円部墳頂)、長さ7.5m 幅2m(舟形に近い形態)遺体:頭位東◆出土品 銅鏡、ガラス丸玉2、ガラス小玉8、鉄刀1、鉄剣2、銅鏃8、偏平楔形鉄器、鉄鑿、 1、刀子、鎌、朱◆備考 周溝未確認 1947年調査(明治大学考古学研究室 後藤守一、大塚初重)、1952年調査(早大、大多喜高校)、1975年県指定
能満寺古墳
能満寺古墳墳丘実測図
●見どころ●
妙楽寺 県道150号線(大多喜一宮線)を睦沢公民館バス停から約4.5km大多喜に向かった右側の森が「妙楽寺の森」。天台宗東岳山妙楽寺は頂にあり、嘉祥 年間(848〜851)に慈覚大師によって創建されたと伝えられる。本尊の大日如来坐像は、像高2.79m、カヤ材による一木割矧造りで、平安時代藤原期を代表する国の重要文化財。脇侍として、不動明王立像と毘沙門天立像があり、いずれも県指定有形文化財。
●味どころ●
弁当持参の方は、睦沢町立歴史民俗資料館で昼食。身軽な方は食堂探しとなる。 ●海鮮かねなか 品数が多く、中でもお勧めは刺身定食は美味。0475−47−1233、水曜定休。 ●中華杏樹 早くてうまい日替ランチがお勧め。0475−43−0770
睦沢町立歴史民俗資料館
睦沢町立歴史民俗資料館…見て、体験して学ぶ資料館。睦沢の考古、歴史資料を紹介。長昌寺の不動堂に安置されていた木造不動明王坐像は10世紀末の製作。房総でも最古級の不動明王像で、一見の価値あり。博物館では、各種の体験講座やギャラリートークが行われている。興味のある方は、お問い合せをされたい。0475−44−0211、月曜休館、無料。
県内横穴分布図
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