千葉国(ちばのくに)の古墳
◎千葉市の古墳 ◎市川市・松戸市の古墳
千葉県の県名ともなった古墳時代の千葉国の様子は古墳分布を見るかぎり,顕著な地域的特徴を見いだせない。西を江戸川に,北を利根川に画された東葛地区と千葉市域都川以北がその国域と考えられている。 東京湾沿岸には,船橋市海老川河口部の海神古墳,習志野市の鷺沼古墳群など都市部にわずかに残された古墳群を見ることができる。江戸川と国分川に挟まれた台地上南端には真間山古墳,弘法寺古墳が,北に法皇塚古墳,江戸川に面して明戸古墳と続く。 国分川上流には松戸市河原塚古墳群があり,1号墳は,両端に粘土を置いた木棺直葬の埋葬施設をもつ。江戸川左岸野田市から流山市にかけての利根運河沿いの流山市東深井古墳群からは形象埴輪,円筒埴輪が出土している。 「日本後紀」延暦二十四年十月八日の条に,大私部直善人が千葉国造で,外従五位下を授けられたとある。 建置年代と支配区域は不明である。
散歩気分で歩くならちょうど良い道,利根運河沿いの小路がお薦め。いざ,古墳の森めざしてレッツゴー(1.3km)。 東武運河駅前を線路沿いに北へ80m,階段を下り跨線橋をくぐると運河道である。東へ500mで道がクランク状になる。ここを右折し,運河道に別れをつげる。80mで坂巻葬祭店が見えたらそこが大通り。左折し400mで変則五叉路,松菱呉服店脇の真ん中を100m行くと林にぶつかる。右折し,やや曲がりくねった道を140mで東深井近隣公園(東深井古墳の森)に着く。 東深井古墳群はかつて約40基を数えた古墳群で2つの舌状台地上に群集していたが,現在は北側の13基だけが,古墳の森として残されている。一番東奥に前方後円墳(9号墳),その隣に鶏や魚埴輪が出土した円墳(7号墳)などがある。(公園表口P. あり)
●見どころ●
●利根運河 明治23年(1890)オランダのムルデルによって,利根川と江戸川を結んで,陸送の不便を解消するため開削された運河。全長8.5kmで,最盛期には年37000艘が行き交った。鉄道の敷設によって水運は衰えたが,今は首都圏の水対策の切り札として復活した。
武蔵野線あるいは北総開発鉄道の東松戸駅で下車し,武蔵野線に沿って県道51号線を北上すること700m,線路のかたわらに小さな塚がある。市指定の河原塚古墳は,径22mの円墳である。 帰途は東松戸駅に戻ること。時間に余裕があれば,北総開発鉄道の北国分駅で下車して,市立市川考古博物館へ。あるいは車の方は,県道51号線をそのまま北上し,松戸市博物館(0473−84−8181,9時30分〜17時,300円)へ。隣接して21世紀の森と広場公園がある。
両駅周辺とも急速に宅地化しているので,標識などに注意しながら進むこと。とにかくゆっくり,キョロキョロ歩くことがコツ。
東深井9号墳 前方後円墳◆所在地 流山市東深井字中1坪◆全長20.8m◆方位 N-145゜-W◆前方部幅4.9m 長さ7.5m◆後円部径13.5m 高さ1.5m◆埋葬施設 木棺直葬か◆出土品 埴輪,円筒,人物4体,馬◆備考 1968年調査(市教委) 河原塚1号墳 円墳 5世紀後半◆所在地 松戸市紙敷西屋桶台◆直径25m 高さ4m◆埋葬施設 2基(墳頂部北側2.8mの位置,墳丘南側斜面,粘土塊,構造不明)◆出土品 人骨2体分(老年男子,幼児),直刀,ガラス玉(墳頂部),須恵器,刀子,鉄鏃,鍬,石製模造品,紡錘車,鹿角装刀装具◆備考 市指定文化財 河原塚4号墳 円墳◆所在地 松戸市紙敷西金楠台◆直径22m 高さ3m◆埋葬施設 不明 ◆出土品 不明
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