千葉市の古墳(村田川流域の古墳)
古墳時代の千葉国は、千葉市千葉寺、生実地区にあったと推定されている。その本拠地は、どこにあったのであろうか。千葉市大覚寺山古墳がその墓所であろうか。
千葉市東南部から市原市の北西部の一帯は、昭和40年以前、畑と山林、谷田からなるのどかな田園地帯であった。ここに千葉東南部地区、千原台地区の住宅団地が計画され、これらの足として京成千葉中央駅を起点とした千葉急行線が平成4年に開通した。この沿線に県指定遺跡の千葉市荒久古墳、同大覚寺山古墳などがある。千葉郷は、平安時代に見える郷名で、下総国千葉郡7郷の一つである。
荒久古墳は、青葉の森公園内、彫刻の広場南側の公園センター正面の木に覆われた小高い山なので、青葉の森公園を目標として行くとよい。JR千葉駅から行くときは、京成バスで大学病院行きまたは矢作台市営住宅行きで中央博物館前下車、中央博物館を見学後、公園に行く。千葉急行線を利用するときは、千葉寺駅を下車して、青葉の森公園を目標に駅前の大通りを北に進み、徒歩約8分で青葉の森公園西口へ。 もとは、1辺20mの方墳で古墳時代終末ごろのもの。方墳、円墳の両説がある。現在は、一部が残るのみ。(P. 青葉の森公園駐車場北口、西口いずれも有料。WC. 博物館等施設)
古墳を一周する街路からの見学となるので、5〜10分程度を見ておけば十分。説明板がある。
荒久古墳 方墳◆7世紀◆所在地 千葉市中央区青葉町荒久◆一辺9m 復元長20m◆埋葬施設 横穴式石室(南)玄室長2.07m 奥壁幅1.4m 入口幅1.2m◆出土品 人骨1体、琥珀製棗玉3、鉄製馬具◆備考 1892年調査
荒久古墳
●県立中央博物館→生態園→芸術文化ホール→西洋庭園→彫刻の広場→荒久古墳→公園センター→青葉の森公園西口
千葉寺
千葉寺…青葉の森公園を出て、大網街道を市街地方向に約5分。縁起によれば、元明天皇の和銅2年(709)僧行基が阿弥陀観音を刻み、安置し、後に海照山歓喜院清蓮千葉寺と号したとある。現観音堂境内の発掘調査によって出土した瓦から、奈良時代末葉から平安時代初頭に建築されたと考えられている。また、境内の大イチョウは、県指定天然記念物。
県立中央博物館
青葉の森「彫刻の広場」
県立中央博物館…千葉県の自然と人間をテーマとして「房総の自然誌」「房総の歴史」「自然と人間の関わり」などを展示。古墳見学の前には是非見学したい。見学には最低限1時間30分は必要。 付属施設として房総の自然をコピーした生態園がある。坂田ケ池からは、双眼鏡を設置したバードウォッチング施設もある。043−265−3111、月曜休館、無料。 このほか青葉の森公園は、「芸術文化ホール」「西洋庭園」「彫刻の広場」「公園センター」がある。これらはカルチャーゾーンと呼ばれている。ほかにネイチャーゾーン、レクリエーションゾーン、スポーツゾーンがあり、親から子供まで自然・文化に親しむことができる。
千葉急行線千葉寺駅に戻って、下りに乗車し、学園前駅で下車。明徳短期大学を目標に進み、千葉市埋蔵文化財調査センター(駅から徒歩20分)に向かう。駐車場から道を挟んで見える小高い山が大覚寺山古墳である。 前方部が北を向いた全長62mの前方後円墳であり、5世紀前半のもの。県指定。昭和44年に宅地造成に先立って山林伐採時に発見され、公園として保存された。説明板がある。(千葉市埋蔵文化財調査センターにP. WC. あり) 時間に余裕があって城に興味のある方は、千葉急行学園駅前にそって南に約10分のところに大百池があり、その台地上に城ノ台城跡があるので足を伸ばすと良い。中世の城跡。城主は不明。公園として整備されている。
千葉市文化財センターの駐車場を下りて山に突き当たったら、左に大きく回り込むと生浜公園があり、奥の階段を上ると古墳入口。バス停通りから直接古墳に行くこともできるが、分かりにくい。古墳には芝が張ってあり、形状がよく分かる。遠くに京葉工業地帯の煙突が一望できる。
大覚寺山古墳 前方後円墳◆5世紀前半◆所在地 千葉市生実町(大覚寺脇)◆全長62m◆方位 N-13゜-W◆前方部幅25m 高さ4.1m◆後円部径35m 高さ5.5m◆埋葬施設 不明◆備考 1969年明大考古学研究室調査、1971年県指定史跡
大覚寺山古墳墳丘実測図
大覚寺山古墳
県立中央博物館には、軽食コーナーがあるが、千葉駅周辺で食事したほうがよい。
千葉市埋蔵文化財調査センター
千葉市埋蔵文化財調査センター…千葉市文化財調査協会が発掘調査した遺物が展示されている。大覚寺山古墳見学の前には是非訪れたい施設である。今では見ることもできないが、近くには滑石製の石釧が出土した七廻塚古墳(径54mの円墳)、滑石製石枕が出土した上赤塚1号墳(径31mの円墳)があった。043−266−5433、月曜休館、無料。
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