多古町の古墳(柏熊古墳群・北条塚古墳)
栗山川上流左岸の多古町に所在する古墳見学コース。柏熊8号墳(しゃくし塚)と北条塚古墳など保存状態の良好な古墳も多い。田園風景を満喫できるし、当時の地理的環境を知ることもできる。
*バスの本数が少なく乗り継ぎも不便なので、車が便利。千葉交通多古営業所(0479−76−2226)。
栗山川上流域には、房総地方最古の埴輪を持つ全長71.5mの前方後円墳・柏熊8号墳(しゃくし塚)に代表される柏熊古墳群や、全長74mの多古町最大の前方後円墳、北条塚古墳のある北条塚古墳群がある。このほか、栗山川支流の常磐川流域では、小川土仏古墳群、栗山川中下流域では内野古墳群、坂並白貝古墳群、淀台古墳群、やや下がった所に飯土井台古墳群などの群集墳が数多くある。
多古町高根バス停からJRバスで、佐原方面へ5.5km、小三倉バス停を右折、間もなく栗山川に架かる水神橋を渡る(大型バス不可)。ここからは柏熊集落と古墳群を擁する台地が一望できる。田んぼの中を柏熊三叉路へ。左角に日石GS、加藤商店がある。左折10mで右折して、70mほどで正岳寺門前。裏山に8号墳がある。しかし、ここからは登れない。山門前に乗用車1〜2台が駐車できるので、ここを基点にして7・5・6・8号墳の順に徒歩で観察して回るとよい。約1km、全行程約1時間のコースである。1〜4号および9・10号墳は荒れた山林内にある。(P. あり、WC. なし)
7号墳 正岳寺前の坂道を200mほど上って左側の赤い鳥居をくぐり、石段を上ると第六神社。社殿が円墳の裾部を削って南面して建つ。小さな社殿だが覆屋がかけられ、狛犬、石燈籠等がよく整っている。古墳上および周辺はスダジイ、杉等に覆われるが、保存状態は良好。
柏熊7号墳入口
柏熊7号墳 円墳◆所在地 多古町南玉造字台◆直径32m 高さ4.8m◆埋葬施設 不明◆出土品 不明◆備考 1990年測量調査(県教委)
5・6号墳 元の坂道に戻り、さらに100mほど上りきり、T字路を左折して20m、右側の小径の右手が5号墳、左手が6号墳、周囲は畑である。 6号墳は径40mの円墳。別称「おけ塚」。80mクラスの前方後円墳ともいわれている。周囲、墳丘ともに篠、笹、雑木に覆われ、立入り、観察は困難である。
5号墳は、地蔵堂、石地蔵数体、宝篋印塔、馬頭観世音等が建ち並び、住民の信仰心を思わせる。また、山桜が数本あるので、花時に来れば楽しめそう。
柏熊5・6号墳
8号墳 しゃくし塚と呼ばれる整美な全長71.5mの前方後円墳である。5・6号墳よりさらに北へ300m、養鶏場の裏の小道を左折して、250mほどの杉林の中にある。その俗称の由来となった幅の狭い前方部は、西南向きで一部が崖にかかる。4世紀後半の築造とされ、採集された埴輪は房総最古のものとして注目されている。ここには説明板が立てられている。 帰途は、杉林の入り口に戻り、急な坂道を下り、舗装道路に出る。左折約150mで正岳寺に戻る。
柏熊8号墳墳丘実測図
見学には林や笹竹をかき分けるので、踏査用の服装が望ましい。中でも圧巻なのは、8号墳(しゃくし塚)である。これぞ古墳というほど残りが良く、形もしっかりしている。フェンスの際に立つと、栗山川とその支流常磐川の合流点に広がる豊かな水田地帯を展望できる。
柏熊8号墳
柏熊8号墳(しゃくし塚) 前方後円墳◆4世紀後半◆所在地 多古町南玉造字台3761◆全長71.5m◆方位 ほぼ南西◆前方部幅20.5m 高さ4m◆後円部径42.5m 高さ6.6m◆埋葬施設 不明◆出土品 埴輪(円筒)
柏熊集落の通りを南へ、家並みの途切れた所を左折、右手に水田、左手は山裾に沿って東南へ進む。約5kmで商店があり、塙バス停へ出る。さらに1kmで松崎神社へ。駐車場はないが、神社の石垣の手前を入ると、境内に乗用車数台は駐車できる。トイレはない。飲食店もない。門前に食料品店、自販機がある。 北条塚古墳は、松崎神社の裏手、東西に横たわる全長74mの多古町内最大の前方後円墳。後円部の直径より前方部幅の方が大きい。6世紀後半の築造と考えられる。県指定。古墳の前と参道の2か所に説明板が立つ。境内西側の倉庫のわき、杉の大木の根元には、箱式石棺の一部と思われる板状の石材が数枚置かれている。前方部西南角が一部道路で削られているが、神社の境内にあるため、保存状態は良好である。 帰路はバスの場合、千葉交通バス成田空港行きで多古高根バス停まで20分。成田方面は空港駅へ直行して、電車に乗り換えること。車の場合はバス通りを西へ向かい、道路案内標識に従って多古方面に進むと、中村を経て多古に至る。
北条塚古墳墳丘実測図
北条塚古墳
西向きの前方部上には、石段を上ると小さな社があり、鞍部には石塔が建つ。南側中腹には石塔、石碑が数基建てられている。古墳全体が信仰の対象とされていたようだ。
北条塚古墳(東松崎2号墳) 6世紀後半 前方後円墳◆所在地 多古町東松崎字稲荷山1747-1◆全長74m◆方位 ほほW◆前方部幅45m 高さ5.5m◆後円部径36m 高さ6.5m◆埋葬施設 箱式石棺?◆出土品 埴輪(円筒、靭)
●松崎神社 宝亀3年(772年)創建、板東稲荷本宮と称された。境内には杉の御神木をはじめ大木が多く、中でも有名なのは「空海逆さ公孫樹」とよばれる周囲6mの古木である。弘仁年中(810〜823)僧空海が諸国行脚の折当社に参拝し、携えてきたイチョウの杖を上下逆さに地に挿し、後世まで繁茂せよ、と念じて立ち去ったという伝説による。町指定。 ●多古美術サロン 館主市原正夫氏が自宅を開放して房総ゆかりの作家の作品を展示。多古警察署前。かわいい時計塔がめじるし。0479−76−2524。見学の前に連絡のこと。無料。
多古美術サロン
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