長狭国(ながさのくに)の古墳

 鴨川、丸山川流域を中心としたこの地域に横穴墓は数多く存在するが、有力な古墳群は見当たらない。ただ、唯一鴨川市広場の低地の砂州上に築かれた後広場1号墳から出土したくり抜き式舟形石棺は一見の価値がある。厚い砂岩をくり抜き、8ヶ所に縄掛突起が作り出された身部とかまぼこ型の蓋部からなり、全国的にみても珍しい。鴨川市郷土資料館の前庭に厳重に保管され、外から見ることができる。
 その他、千倉町の瀬戸川流域の本郷上ノ岱古墳群(前方後円墳1基、円墳3基、方墳1基)中の上ノ岱3号墳は全長35mの帆立貝式の前方後円墳で、横穴式石室である。
 また、丸山川流域は、丸山川東岸の永野台に4基の高塚古墳が築造されており、うち1号からは女子埴輪を含む埴輪と須恵器の短頸壷が出土し、5世紀後半の古墳と考えられている。
 長狭国造は「古事記」神武天皇の条に『神八井耳命は長狭国造などの祖なり』とあり、加茂川・丸山川流域を支配した。のちに加茂川流域は長狭郡、丸山川流域は朝夷郡となる。丸山川の上流は、丸子部をひきいた丸氏の根拠地である。

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