雑草が刈られ、よく整備されている。前方部が削られ、箱根神社の社殿が建っている。そのため、古墳と尋ねるよりも権現様と聞いた方が教えてもらいやすい。石室の口は、昔の発掘の跡がそのまま大きなくぼみとなって残っている。周溝には桜が植えられていて、花の時期が楽しみだ。
　また、古墳から、九十九里平野が望めるところもある。現在は家もけっこう
建っているが、当時はどのような風景であったろうか。水田が広がっていたのであろうか。まだ開墾が行われていなくて、アシやヨシの繁る湿地帯や原野であっただろうか。それにしても、松尾に３重周溝の古墳が築造されていたとは…。

大堤権現塚古墳　前方後円墳　７世紀初頭◆所在地　松尾町大堤字宮前◆全長115m◆方位　N-157°-Ｗ◆前方部幅53m　高さ10m◆後円部径60m　高さ12m◆周溝三重盾形◆埋葬施設　複室の横穴式石室（奥室に作りつけ石棺）奥室長2.1m　幅3.5m　前室長3.1m　幅1.5m　羨道残存長　２m　幅1.5m　石材　砂質粘板岩（軟砂岩）石棺　長さ2.2m　幅0.6〜0.8m　深さ0.7m◆出土品　頭椎太刀１、圭頭太刀１、鉄鏃、金銅製鞘付刀子、金銅製耳環５、勾玉５、管玉１、水晶切子玉３、ガラス玉多数◆備考　1956年日本大学、1989年県測量調査、1991年山武郡市文化財センター周溝確認調査

　　くびれ部に社が建っているが、墳形はよく分かる。墳丘に植えられた杉からの木漏れ日がいい。トイレ、説明板はある。“房総の魅力・500選”の一つ。

朝日ノ岡古墳　前方後円墳◆６世紀後半◆所在地　松尾町蕪木◆全長70m◆方位　N-88°-Ｗ　◆前方部幅42m　高さ７m◆後円部径47m　高さ７m◆二重周溝◆埋葬施設　横穴式石室　奥行4.1m　幅4.3m　高さ1.5m　玄室中央に棺床◆出土品　管玉１、埴輪（円筒、人物、馬、鶏、水鳥）、須恵器、土師器、◆備考　1952年日本大学調査、1990年県教委測量調査

　巾着容器は金ピカであった。金は古墳人にも魅力的であったのだろうか。一度みると感激することまちがいない。

蕪木５号墳　前方後円墳◆６世紀後半◆所在地　松尾町八田字名城◆全長47m◆方位　N-145°-Ｗ◆前方部幅20m　高さ４m◆後円部径20m　高さ４m◆埋葬施設　横穴式石室　全長6.0m　幅1.68m　高さ1.75m◆出土品　直刀12、金銅製鞘入刀子１、銅製馬具１式分、鉄製雲珠１、鉄製辻金具１、金銅製耳環４、ガラス小玉46、金銅製巾着形容器１、須恵器３◆備考　1953年日本大学調査、1989年県教委測量調査

殿塚古墳　前方後円墳◆６世紀後半◆所在地　横芝町中台字外記◆全長88m◆方位　N-106°-Ｗ◆前方部幅55m　高さ7.7m◆後円部径58m　高さ8.6m◆二重周溝◆長方形◆埋葬施設　横穴式石室（梱石によって前後２室に区分）前室2.45×1.2m　後室2.47×1.4m　羨道なし　◆出土品　頭推太刀１、直刀５、鉄鏃数10、刀子１、金銅製耳環３、玉類、銅椀３、金銅製鈴８、埴輪（円筒・朝顔、人物55以上、翳、太刀、家、馬、猪、犬、牛、鳥）◆備考　1956年早稲田大学調査、1988年県教委測量調査

　殿塚古墳と姫塚古墳から出土した埴輪は、古墳の中段にあたかも葬送の行列を示すかのように外側を向いて並んでいた。
　今まで不明であった形象埴輪の配列の意味を知ることのできる最初の発見であった。

　殿塚・姫塚は、名前のように二つの古墳が寄り添って築かれている。よく手入れされていて、見学しやすい。説明板、小さいが駐車場もある。きれいとはいえないがトイレもある。墳丘上は桜の木だけが植えられ、花見の隠れた名所となっている。古墳のそばの花桃の畑やスミレ、ワラビ採りの季節も楽しみだ。上空を航空機が時折飛ぶ。古代人が見たらどんなに驚くことだろう。

姫塚古墳　前方後円墳　７世紀初頭◆所在地　横芝町中台字外記◆全長58.5m◆方位　N-96°-Ｗ◆前方部幅36m　高さ4.8m◆後円部径35m　高さ4.5m◆埋葬施設　横穴式石室　全長　5.72m◆出土品　方頭太刀１、直刀13、鉄鏃、　刀子、金銅製雲珠６、鉄地金銅張杏葉１、金銅鞍金具１組、轡２、玉類、金銅製耳環６、鉄釘、埴輪（円筒・朝顔、人物、馬）、須恵器、土師器◆備考　1956年早稲田大学調査、1988年県教委測量調査

●はにわ道にそって、ソバ、ラーメンなどの食堂がある。芝山町市街地には、
ニュー吾妻、芝仙、吾妻庵、タツミなど。
●ニュ−吾妻　古代食をたんのうされたい方は、古代豪族の祝宴を再現した「国造献上御膳」を。１週間前までに予約が必要。（0479−77−1236、５名より）