成東町・山武町の古墳(境川流域の古墳)
きらびやかな金銅製品が出土したことで知られる経僧塚古墳をはじめとして、さしずめ古墳銀座を歩く散策コ−ス。真行寺廃寺跡は郡寺か。最近、武射郡の役所らしい建物跡も発見された。これから古代史の究明が期待される地域。
*畑の中の道で、車の通りは少ない。また案内板、駐車場、トイレもない。
境川流域左岸の台地上には、上流から埴谷古墳群、諸木内古墳群、胡摩手台古墳群、根崎古墳群、麻生新田古墳群、真行寺古墳群などが連綿と続く。これらの中で注目されるのは胡摩手台16号古墳、カブト塚、経僧塚古墳などである。
(真行寺19号墳) 成東駅から埴谷経由八街行きで真行寺下車。わき道に入って台地に向かう。自動車の場合は、真行寺バス停やや手前を右に道なりに進み、台地を上る。真行寺廃寺には材木置き場を右に上る。経僧塚古墳へは、道なりに約1km行くとトツカ製作所があるので、ここからわき道に入り、さらに約400m行くと牛舎がある。その前の電柱(南麻生支53)からケモノ道のような所を入っていくと、すぐに林道。300mくらいの右手に経僧塚がある。径45mの円墳。(P. WC. なし)
杉の木に囲まれてほの暗いし、墳丘は荒れているので服装も長袖、ズボンで足元もしっかりしたものを。また、下草が道をおおっていて分かりにくいので一人歩きは避けた方がよい。
経僧塚古墳 円墳◆7世紀初頭◆所在地 成東町野堀字経僧塚◆全長45m 高さ6.7m◆埋葬施設 横穴式石室、箱式石棺◆出土品 銀装圭頭太刀、直刀8、鉄鏃5、刀子3、馬具金具、円形座金付金銅製大鈴110、鉄地銀張耳環2、小玉、棗玉、布(絹、麻)、埴輪(円筒、家、人物、馬、鳥)◆備考 1968年調査
(麻生新田3号墳) 牛舎の所に戻って、10m先の右手のちょっと高い所がカブト塚。径43mの円墳。(P. WC. なし)
二段築成と聞いていたが、裾は削られ「むざんやな甲の下のきりぎりす」といった感じ。
カブト塚古墳 円墳◆6世紀末◆所在地 山武町麻生新田字カブト塚◆全長43m 二重周壕 高さ5.4m◆埋葬施設 横穴式石室 全長7m 幅約1m 高さ1.8m 軟砂岩切石積◆出土品 直刀、刀子、鉄鏃、杏葉、雲珠、絞具、金 環、釘◆備考 1966年調査
牛舎わきの道を左に行くとやや大きな道に出る。この時右手にきれいな塚が見える。麻生新田古墳群の2号墳。通称「ヘビ塚」。2段築成の方墳で一辺31m。保存良好。(P. WC. なし)
ここも畑の中の古墳ではあるが、近くにはミニ開発団地が。住宅が近くまで建ち始めている。
やや大きな道を右に行き、東金道路の跨線橋を渡って、しばらく行くと十字路に出る。左に折れて下り坂を進む。防火用水を右に。ゲートボール場前の台地上の雑木林が16号墳。全長86mの前方後円墳であり、二重周溝。 後円部の墳頂に田村稲荷の祠がある。くびれ部に鳥居が建っている。6世紀末から7世紀初頭の築造。(P. WC. なし) 帰途は、防火用水に戻って右手に300m下りると県道に出る。ちばフラワーバス八街発成東行きの下戸田バス停で乗車する。 時間があるなら、真行寺方向から来た道路に戻って、北に進む。両わきに胡摩手台古墳群、諸木内古墳群、埴谷古墳群の古墳が点在する。約2km行くと県道山武横芝線に出るので、これを左折して谷に下りて、上ったところが埴谷地区。ここからバスで成東駅または八街駅に向かう。
胡摩手台16号墳墳丘実測図
胡摩手台16号墳
16号墳は、西側からはすぐ分かるが、他の方向から近付くと分かりにくい。一見して非常に細長い感じがする古墳。全長79mの大きな古墳が山中に隠れているという印象である。防火用水から右手に下りていくと県道に出る。この辺りは11月中ごろなら紅葉がきれいだ。午後の日に映えた時がなかなかよい。県道を成東方面に行った800m先に山武の名水「戸田の泉」がある。誰でも汲めるので、ポリタンクやペットボトルを持っていくのもよいだろう。
胡摩手台16号墳 前方後円墳◆所在地 山武町戸田字久保谷1580-1◆全長79.2m◆方位 ほぼW◆前方部幅30m 高さ7.3m◆後円部 径39.2m 高さ7.3m◆出土品 埴輪◆備考 1990年県教委測量調査
●戸田の泉 山武の名水。台地から絞り出され、ジャ口をひねると水が出る。ただし、午後6時から午前6時までは給水を中止する。
戸田の泉
●真行寺廃寺跡 成東駅から埴谷経由八街行き(1本/1時間)のバスで真行寺下車。真行寺バス停手前を右に道なりに台地の方に上がっていく。材木置場わきの細道を300m位行った杉林や植木畑が廃寺跡。8世紀前半に建立。今は跡形もないが、瓦片が落ちている。
真行寺廃寺
●武射郡衙推定地 千葉県内で郡の役所跡が分かっているのは埴生郡衙跡と推定される栄町大畑遺跡と武射郡衙跡と推定される成東町嶋戸東遺跡だけである。 嶋戸東遺跡の調査では大型の堀立柱が規則的に配置されていることが確認された。今後の研究が期待される。
●古墳踏査コースには食堂もほとんどないが、国道126号線沿いには、レストランが多くある。 ●サンマリノ 山武町役場近く。0475−89−1883、日曜定休。木象眼のテーブル・装飾等、なかなかしゃれた店である。ハーブ料理で、自然食を売り物にしている。手作りのハーブ入りパンが4種類味わえる。
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